電動自転車の購入で失敗しない為に知っておいて欲しいもっとも重要な事
スペックや価格、デザインよりも重要な、電動自転車の購入で失敗しない為に知っておいて欲しい事
目次
はじめに
電動アシスト自転車の購入を検討されている方が気にされるのが
- 価格
- 1回の充電で走れる距離
- 取り回しのし易さ
- 重量
- デザイン性
などだと思います。
もちろん自転車のスペックも代金を支払う直前には検討した方が良いのですが、 それをおろそかにするなら 「スペックなんてハッキリ言ってどうでも良い!」 と断言できるくらい もっともっと重要な事がありますから、それを説明させて頂きます。
電動アシスト自転車は自転車ではありません
見た目も大半の部品も自転車ですから、「自転車ではない」と言う事はないのですが、 普通の自転車と電動アシスト自転車は似て非なる物と考えて下さい。
普通のママチャリなら、どこでどんな自転車を買っても 壊れた時に近所の自転車屋へ持って行けばそれなりに何とかなるのですが、 電動アシスト自転車は少し事情が変わってきます。
もちろん、電動アシストユニット、バッテリー、充電器、電源スイッチなどは 同じメーカーの電動自転車を取扱っている自転車店でしか入手や修理ができないのは 想像がつくと思いますが、実はそれだけではありません。
電動アシスト自転車のタイプ
下の3つの自転車はどれも電動アシストですが、
- 後輪に電動ユニットのがあるタイプ
- 前輪に電動ユニットのがあるタイプ
- 中央に電動ユニットがあるタイプ
というような形で大体3つのタイプがあります。
電動自転車を作る時にできるだけコストを抑えようと考えたら 「後輪に電動ユニットがある物」 か 「前輪に電動ユニットがある物」 を選びます。
最悪、普通のママチャリに電動アシストユニット付きの後ろ車輪を取り付けて荷台にバッテリーを置けば、
後輪に電動ユニットがある電動アシスト自転車が出来上がりますし、
普通のママチャリに電動アシストユニット付きの前車輪を取り付けてカゴにバッテリーを置けば、
前輪に電動ユニットがある電動アシスト自転車が出来上がってしまいます。
また、万が一電動ユニットが壊れてしまった場合、特別な工具や技術、知識がなくても 車輪を丸ごと差し替えるだけで復活させる事ができますから、 ホームセンター、ディスカウントストア、通販業者にはうってつけの商材と言えると思います。
反対に、電動ユニットを中央に置こうとすると、アシストユニットを固定する場所を作らなければなりませんから、 フレームをいちから専用に作る必要が出てきますし、車輪のようにどんな自転車でも取り付けできる汎用品ではありませんから、 ユニットの形状が変わればそれに合わせてフレームを作り直さなければならず、フレームをたくさん作り置きしておく事もできません。
値段も高いし、ユニットの交換も大変だし、あまり良い事はなさそうだからそんなのやめちゃえば良いと思うのですが、 大手のメーカーは電動ユニットが中央にあるタイプが圧倒的に多いですね。
なんだかお金の匂いと、大人の事情がありそうな感じがしてきますね。
電動アシスト自転車の修理
当店の場合ですが、電動アシスト自転車で多いトラブルを順番に並べると以下のような感じになります。
- 空気が少ない状態で乗り続けた為のパンク (チューブ交換になる)
- 段差に乗り上げた事で起こるパンク
- バルブ付け根のパンク (チューブ交換になる)
- タイヤの擦り減り (タイヤとチューブ交換になる)
- 後輪のスポーク折れ
- 前ブレーキの擦り減り
- チェーンの故障
- 鍵を無くした
- スイッチの故障
基本的によく分からない電動ユニットを搭載した自転車を取扱わないようにしている為だとは思うのですが、電動ユニットの故障と言うのは大昔に数件あった程度で、 この中でも圧倒的に(1)から(4)のトラブルが多く、いずれも空気の少ない状態で乗っていた為の故障です。
普通の自転車であれば、空気が少なくなると走るのが重たくなりますから、「空気いれなきゃ」と思うのですが、 電動アシスト自転車は空気が減ってもアシストのお陰で走りが重たくならず、定期的に空気を入れる習慣がなくなってしまい、チューブを傷めてしまいます。
また、幼稚園の送り迎えで電動アシスト自転車を使用している方は2人や3人乗りと言う形になりますから、 少し空気が足りないだけでも、段差を乗り越えた際にはパンクしてしまいますし、タイヤの擦り減りも早いです。
当然、タイヤにガラスや釘が刺さったと言うパンクもあり、普通の自転車であればパンクした車輪を持ち上げて持って行く事も可能ですが、 30kgくらいある自転車の片輪だけ持ち上げて運ぶ事は至難の業ですから、それを引きずっているうちにチューブが痛んで①の状態になり、チューブ交換になってしまう事が殆どです。
結局、使用上起こるトラブルはタイヤ周りが大半を占める訳ですから、そこをクリアしておく事がとても重要になってきます。
パンク修理、チューブ交換、タイヤ交換ができないのに自転車屋をやっていると言う人に今まで会った事がありませんから、 タイヤやチューブが取り寄せになる事はあっても、技術的にできないと言う事は無いはずなのに、 電動アシスト自転車になったとたん、パンク修理もできない自転車屋が急増します。
そして、自転車屋の経験値が上がるに連れて、どんどんパンク修理も出来ない自転車屋が増えて行きますから、 「パンク修理くらいは何処の自転車屋に持って行っても出来るだろう」 と考えられていたら、大きな失敗をしてしまうかも知れません。
電動アシスト自転車の修理対応
まず、電動アシスト自転車には手元のスイッチやバッテリーから電気や信号を送る為の配線がユニットに連結されます。
中央に電動ユニットがあるタイプはフレームの間で完結していますが、それ以外はホイールにカプラーやコネクターと言う名前の部品で連結されています。
車輪を着脱する時に劣化しているカプラーが割れてしまったり、断線してしまったりした場合、取扱いのあるメーカーの物以外は入手できず、 当然パーツリストや配線図なども入手できませんから、簡単にもとの状態へ戻す事ができません。
また、配線を外す前は電動ユニットが正常に動作していたのかを確認する為にパンクしている自転車を乗り回す訳にも行きませんから、 その結果 「パンクで修理に出したら壊された」 と言われてしまう事になります。
このような経験を沢山する事で、「自社販売車両しか修理しない」 「電動と関係のない部分しか修理しない」 と言うお店が増え、 「購入されたお店に相談してみて下さい」 と言われて修理してもらえなかったと電動自転車も持込される方が年々増えています。
パンク修理であれば何の部品も外す事なく終われるのですが、前の項で説明をしたように電動アシスト自転車はチューブ交換やタイヤ交換になる可能性がとても高く、 取扱いの無いメーカーの物を触るのはリスクがとても高い為、修理はしてあげたいけれど怖くてできない。と言うのが自転車屋の本音です。
そこで、アシスト機能に関係している物へは触らず、普通の自転車と同じように修理できる部分を取り外したのが下の絵になります。 中央に電動ユニットを配置するタイプがいかに修理・メンテナンス性に優れているかが分かると思います。 無駄に値段が高いわけじゃなかったんですね。
電動アシスト自転車の購入で失敗しないポイント
● パンクの時に押して行ける範囲の自転車店で購入する。
出張修理や修理の引き取りサービスを行っているお店であれば遠くても大丈夫です。 また、電動自転車を積む事が出来る大きな自動車をお持ちの方は、修理の際に持ち込める範囲で。
● 車種やブランドは決めて行かず、そのお店で良く売れているお勧め車種を聞く
そのお店で良く売れている車種はウィークポイントも把握しており、点検の時にしっかりメンテナンスして貰えますし、 タイヤやチューブなども取り寄せではなく在庫している事が多いです。
とくに通学、通勤、幼稚園の送り迎えで電動アシスト自転車を使用される方は、聞きにくいかもしれませんが、 タイヤやチューブ交換の場合、何日くらいで修理が完了するのかを確認して下さい。
自転車技師がいないお店の場合、メーカーの担当者が修理に来るまで1~2週間預かりになる事があります。
● 行動範囲が広い方は中央にアシストユニットが付いている物を
長い距離の通勤・通学や、行動範囲が広い方は、購入したお店に修理を持ち込めるとは限りませんから、 どのお店に持ち込んでも修理して貰える可能性が高い、中央にアシストユニットが付いている物を選んで頂くのがお勧めです。
タイヤのサイズは24、26、27インチであれば在庫が無くて修理できないと言う事は滅多に無いと思います。
● プレゼントならお金を渡してあげてください
お孫さんの入園祝いで子供乗せ電動アシスト自転車をプレゼントしたいと、 希望を聞いてカタログに丸を付けて注文をしに来るお爺ちゃん結構多いです。
貰った時にはメチャクチャ嬉しくて喜ばれますが、そのうち修理で困ります。 自転車を買ってもらったうえに 「お爺ちゃん!明日の送り迎えまでに修理して持ってきて!」なんてなかなか言えませんから、 「近所の自転車屋に買いに行っておいで」 とお金を渡してあげて下さい。