自転車のボトムブラケットを交換する方法
ペダルを踏んだ時に違和感や振動を感じてペダル交換やクランクの増し締めを行っても解決しない場合は ボトムブラケットの可能性が高いです。自転車のBB(ボトムブラケット)を交換する方法と注意点。ボトムブラケットの種類やネジ山の違いなどを解説してします。
目次
- はじめに
- ボトムブラケットのタイプと工具
- シェル幅とサイズについて
- ボトムブラケットのネジについて
- カートリッジ式ボトムブラケットの取り外し
- カートリッジ式ボトムブラケットの取り付け
- 中空クランク用ボトムブラケットの取り外し
- 中空クランク用ボトムブラケットの取り付け
- ボトムブラケット交換の注意点
はじめに
最近は普通のママチャリもカートリッジ式のボトムブラケットが取付される事が多くなってきました。
ペダルを踏むと 「カチッ...カチッ...」 と言う音が出たり、ペダルを踏む足の裏に 「コクッ...コクッ...」と言う感触があり、 ペダルを交換したり、クランクを取り付けし直しても症状が改善されない場合はボトムブラケットが緩んでいたり、 ボトムブラケットのベアリングが駄目になっていたりします。
バケツをひっくり返したような大雨の日に乗ってしまったり、水没と呼んでも良いくらいの水たまりを走行してしまった数日後。 走り出しは良かったけれど、少しすると段々ペダルを漕ぐのが重たくなって、そのうち全くペダルが回せなくなる。 しかし、少し時間を置くとまたペダルを回せるようになる。と言う症状の場合は確実にボトムブラケットの交換が必要ですね。
ボトムブラケットのタイプと工具
こちらが一般的なカートリッジ式ボトムブラケットの形状です。
軸やベアリングが一体型になっており、左側のカップだけが取り外せるようになっています。 左側のカップも右側と同じ形をしている場合もあります。
工具は左右カップ内側のギザギザ(ノッチと言います)に嵌める工具を使用しますが、 ノッチの数がメーカーによって違います。一般的にシマノの場合は20ノッチ、 カンパニョーロは12ノッチの工具を使用しますが、ご自身の自転車のボトムブラケットに あるノッチ(ギザギザ)の数を確認して下さい。
シマノホローテック等、中空の軸がクランクに取り付けされているタイプに 使用されるボトムブラケットです。左右カップのネジ山の向きは違いますが、 見た目は左右対処に見えます。
工具は左右カップ外側のギザギザ(ノッチと言います)に嵌める工具を使用しますが、 外径が 39mm , 41mm , 44mm , 48.5mm , 49.2mm , 59.2mm , 69.2mm , 79mm などがあり、 ノッチの数も12ノッチや、16ノッチと様々な種類がありますからご自身の自転車のボトムブラケットに あるノッチ(ギザギザ)の数とボトムブラケットカップの外径を確認して下さい。
シェル幅とサイズについて
ボトムブラケットを差し込むフレーム部分のBBシェルと呼びますが、幅68mmのBC1.37x24(JIS/BSA) と 幅70mmの36x24(ITA) があります。
BC1.37x24(JIS/BSA)はシェル幅68mm、シェルの内径34.8mmです。
36x24(ITA)はシェル幅70mm、シェルの内径36mmです。
内径が異なりますから、イタリアンのボトムブラケットをJISのフレームにねじ込む事は出来ませんが、 その逆はネジ山を壊しながら無理やり入れる事が出来てしまいますから気を付けなければなりません。
ボトムブラケットのネジについて
ボトムブラケットのネジの向きは BC1.37x24(JIS/BSA) と 36x24(ITA:イタリアン)では異なります。
「凄い力で緩めているはずなのに、全く緩まない!サビて固着しちゃっているのかな?」 と思ったら、 実は凄い力で締め付けていたりしますから注意が必要です。
左側はどちらも正ネジですから右回し(時計回り)で締まり、左回り(反時計回り)で緩みます。
シェル幅68mm、BC1.37x24(JIS/BSA)の右側は逆ネジですから左回し(時反計回り)で締まり、右回り(時計回り)で緩みます。
シェル幅70mm、36x24(ITA:イタリアン)の右側は正ネジですから右回し(反計回り)で締まり、左回り(反時計回り)で緩みます。
カートリッジ式ボトムブラケットの取り外し
当然、ボトムブラケットを外すにはクランクを取り外す必要がありますから、 クランクの着脱方法は下記ページをご覧ください。
BBツールを左側ボトムブラケットのカップに差し込みます。
左側のカップに取り付けたBBツールにモンキースパナをかけて反時計回りに1回転くらい緩めます。
BBツールを右側ボトムブラケットのカップに差し込んでモンキースパナをかけます。
シェル幅70mm、36x24(ITA:イタリアン)の場合は左回り(反時計回り)に緩めてボトムブラケットを引き抜きます。
シェル幅68mm、BC1.37x24(JIS/BSA)の場合は右回り(時計回り)に緩めてボトムブラケットを引き抜きます。
ボトムブラケット左側のカップを緩めて取り外します。
カートリッジ式ボトムブラケットの取り付け
ボトムブラケット左側のカップを右回し(時計回り)でシェルにねじ込んで行きます。
※この時に絶対工具は使用しないで下さい。
工具を使用するとカップを斜めに入れてしまう可能性がありますから、工具は使用せずに手で3回転くらい手で締め込んで行きます。
スルスルとねじ込めない場合はカップが曲がって入ってしまっている可能性が高いですから 手に持った左側カップをそっと上下左右に揺らしながらねじ込みます。
ここで失敗するとボトムブラケットのタップを立て直す事になり、4万円くらいの工具が必要になりますから 作業は慎重に行って下さい。
次に右側のボトムブラケット本体をシェルにねじ込んで行きます。
シェル幅68mm、BC1.37x24(JIS/BSA)の場合は左回り(反時計回り)に手で締め込みます。
シェル幅70mm、36x24(ITA:イタリアン)の場合は右回り(時計回り)に手で締め込みます。
左側にねじ込んだカップがガイド代わりになりますから、わりとスムーズに手でねじ込んで行けるかとは思いますが、 スルスルとねじ込めない場合は曲がって入ってしまっている可能性が高いですから 手に持ったボトムブラケットをそっと上下左右に揺らしながらねじ込みます。
左側と同じく、ここで失敗するとボトムブラケットのタップを立て直す事になり、4万円くらいの工具が必要になりますから 作業は慎重に行って下さい。
手でスルスルと3回転くらい手で締め込む事が出来れば、そこから先は工具を使用します。
BBツールを右側ボトムブラケットのカップに差し込んでモンキースパナをかけ、完全に締め込みます。
BBツールを左側ボトムブラケットのカップに差し込んでモンキースパナをかけて時計回りに完全に締め込みます。
中空クランク用ボトムブラケットの取り外し
当然、ボトムブラケットを外すにはクランクを取り外す必要がありますから、 クランクの着脱方法は下記ページをご覧ください。
BBツールを左側ボトムブラケットのカップに差し込み、反時計回りに緩めて外します。
BBツールを右側ボトムブラケットのカップに差し込みます。
シェル幅68mm、BC1.37x24(JIS/BSA)の場合は右回し(時計回り)、シェル幅70mm、36x24(ITA:イタリアン)の場合は左回し(反時計回り)に緩めて外します。
中空クランク用ボトムブラケットの取り付け
ボトムブラケット左側のカップを右回し(時計回り)でシェルにねじ込んで行きます。
※この時に絶対工具は使用しないで下さい。
工具を使用するとカップを斜めに入れてしまう可能性がありますから、工具は使用せずに手で3回転くらい手で締め込んで行きます。
スルスルとねじ込めない場合はカップが曲がって入ってしまっている可能性が高いですから 手に持った左側カップをそっと上下左右に揺らしながらねじ込みます。
ここで失敗するとボトムブラケットのタップを立て直す事になり、4万円くらいの工具が必要になりますから 作業は慎重に行って下さい。
次に右側のボトムブラケット本体をシェルにねじ込んで行きます。
ダストカバーが付属している物にはダストカバーを取り付けます
シェル幅68mm、BC1.37x24(JIS/BSA)の場合は左回り(反時計回り)に手で締め込みます。
シェル幅70mm、36x24(ITA:イタリアン)の場合は右回り(時計回り)に手で締め込みます。
スルスルとねじ込めない場合は曲がって入ってしまっている可能性が高いですから 手に持ったボトムブラケットをそっと上下左右に揺らしながらねじ込みます。
左側と同じく、ここで失敗するとボトムブラケットのタップを立て直す事になり、4万円くらいの工具が必要になりますから 作業は慎重に行って下さい。
手でスルスルと3回転くらい手で締め込む事が出来れば、そこから先は工具を使用します。
BBツールを右側ボトムブラケットのカップにあてて完全に締め込みます。
BBツールを左側ボトムブラケットのカップにあてて時計回りに完全に締め込みます。
ボトムブラケット交換の注意点
【注意点-1】
安物の自転車では初めからネジ山を壊しながら無理やり斜めにボトムブラケットが差し込まれている事もありますし、 年数の経過している自転車だと、固着して緩まなくなっている事も多々あります。
強力な緩み止めが入っていたりすると超大型眼鏡レンチを使用しなければ緩まない場合もあり、 何をやっても駄目な場合はバーナーで炙ったり、BBを切断破壊して外さなければならない場合もあります。
BBが差し込まれるフレーム部分(BBシェル)のネジ山が甘い場合や、 手前側のネジ山が潰れている場合は、タップを立て直しをする必要があり、 塗装が厚い場合はBBシェルのフェイシング(面取り)をする必要もあったりします。
更に自転車のボトムブラケットはフレームやクランクに合わせて、種類やサイズがとても沢山ありますから、 その中からピッタリ合う物を選別して、工具と部品を調達して、作業をして、外れない場合は再度高額な工具を調達する。 そして、失敗するとフレームを交換するしかない。と言う相当コストパフォーマンスの悪い作業になります。
何の問題もなくスムーズに行けば10分くらいで作業は終わりますが、年に数回は何時間もかかってしまう物に遭遇する事があります。
その中でもユーザー自身や、経験の浅い自転車屋が頑張ったけれど外す事が出来なかったと言う物は、 工具の嵌め合い部分をなめてしまっているケースが多く、その場合は莫大な金額がかかる事になりますから、 それなりの覚悟を持って作業を行って下さい。
【注意点-2】
BBツールは全ての爪が均等にBBカップのノッチに差し込まれるように真っすぐ差し込み、 緩めたり締めたりで力を入れている時に斜めになってしまわないように押さえながら作業して下さい。
【注意点-3】
スパナやモンキーレンチの工具も同じく、 緩めたり、締めたりで力を入れている時に斜めになってしまわないようにシッカリ押さえながら作業して下さい。
【注意点-4】
ホームセンターなどでも手に入りやすいモンキーレンチで説明させて頂きましたが、 固着が酷い場合、強力な緩み止めが付着している場合、曲がってねじ込まれてしまっている場合などは 50cmくらい長さのある眼鏡レンチを使用すると良いと思います。
とにかく、緩める為の工具は出来るだけ大きくて長い物の方が力が入ります。